デパートでも見かける、薩摩焼酎「金山蔵」です。
近くの酒屋さんでも取り扱っていて、以前からずっと飲んでみたいと思っていたので、手にしてみました。
深緑色の箱に入って、ちょっとプレミアムな雰囲気を醸し出しているのですが、4号瓶(720ml)で3千円(消費税別)と、芋焼酎にしてはちょっとお値段もプレミアム。
いったいどんな味なのでしょうか。
今日は、薩摩焼酎「金山蔵」を紹介します。
薩摩焼酎「金山蔵」を開封
箱を開けると、トレーシングペーパーのような半透明の紙に巻かれた瓶が見えます。
早速取り出して、半透明の紙をはがします。
落ち着いた色合いの深緑の瓶に、淡い金色の文字が浮かび上がります。
表側のラベルには
「PREMIUM 3 YEARS OLD」
と書いてあります。
箱やキャップには、
「唯一無二」
「三年熟成」
と書かれています。キャップはシールで封されています。
裏側のラベルに注目してみましょう。
「本格焼酎」
「黄金麹仕込 坑洞内甕貯蔵」
「薩摩焼酎 金山蔵」
原材料は鹿児島県産のさつまいも、国産米の米麹です。
アルコール分は25度、内容量は720mlです。
それにしても、「坑洞内甕貯蔵」というのは、本当に金を掘っていたところなのでしょうか。
ちょっと調べてみましょう。
鹿児島県いちき串木野市にある、薩摩金山蔵
現在の鹿児島県いちき串木野市には、かつて「串木野鉱山」がありました。
いちき串木野市は九州南西部に位置しています。
串木野鉱山からは金や銀も産出され、その坑道は16層にもなり、最も深いところでは海面下350メートルまで掘られていました。
串木野鉱山が金や銀を産出していたのは、1997年まででした。その後、坑道跡地の一部が整備されて、観光施設「薩摩金山蔵」となり、観光客が見学できるようになっています。
また、坑道の中はトンネルの中と同じで、冬は冷えずに夏も涼しく、1年を通じて気温があまり変わりません。
16℃から18℃くらいで、ほぼ一定なのだそうです。
さらに、日光とともに紫外線も入ってこないため、焼酎を貯蔵しておく場所として適しています。
薩摩金山蔵では、貯蔵だけでなく、焼酎作りも坑道のトンネルの中で行っているのだそうです。
焼酎「金山蔵」の裏側のラベルに再び注目してみましょう。
「黄金千貫」使用。幻と呼ばれた「黄金麹」で仕込み、串木野金山坑洞内で長期貯蔵した唯一無二の芋焼酎です。華やかな香りと、深くまろやかな味わい、余韻をお楽しみ頂けます。
とラベルには書いてありました。
「黄金千貫」は焼酎に使われるサツマイモの品種の名前ですが、「黄金麹」というのは初耳です。
薩摩焼酎 金山蔵 スペシャルサイトによれば、明治44年(1911年)に「黄金麹」が発見されたそうです。
近代焼酎の父といわれた、河内源一郎が泡盛の黒麹をもとに、黒麹菌を培養することに成功したのが1910年ごろ。この黒麹菌が突然変異した白い麹菌「白麹」を発見し、「河内白麹菌」として学会発表したのが1924年です。
「黄金麹」も黒麹からの突然変異で生じたものだそうですが、その後は使われなくなっていました。この「黄金麹」を再び復活させて焼酎作りに用いたのが、薩摩焼酎「金山蔵」です。
さて、いつも、はじめの1杯は、ラベルの文章を見るまえに、飲むようにしています。
先入観なしで味わうほうが楽しいんです。
金山蔵も、開封した日はラベルを見ないで飲んでいました。金山蔵はどんな味だったのか、レポートしましょう。
まずはロックで
芋焼酎のロックといえば、氷が融け始める前の、ガツンとくる味を楽しみ、喉を潤してからの香りをまた楽しむ、という印象がありました。
でも、金山蔵のロックはひと味違うコクを感じます。
口に含むと、ロックなのにもかかわらず、優しい、丸みを帯びたような雰囲気の味が、口の中にまず広がります。
芋焼酎の尖っている味や、ギザギザしたような香りが少なく、その代わりにぶ厚いコクや、濃い甘さを感じます。
舌触りが、丸くつるんとしているような印象で、芋焼酎の甘さ、濃さとともに、なめらかさを感じる味だと思います。
芋焼酎の熟成古酒の類って、ウイスキーのようなテイストだったり、独自の風味が強すぎて芋焼酎らしさが半減しているものが多いと思っていました。
しかし、この「金山蔵」は、芋焼酎らしさ、とくに芋焼酎らしい甘さが、ロックでしっかりと味わうことができると思います。
氷が融けて、しっかり冷えると、キリッと締まる感じがして、味の印象が淡くなっていくように感じました。こういう感じの味の変化は、米焼酎を飲んだときの感じと似ているのかもしれません。
そこで、ちょっとだけ、ストレートで飲んでみることにしました。
ストレートも旨い、金山蔵
金山蔵をそのままお猪口に入れて、ストレートで飲んでみます。
おおかたの芋焼酎は25度ですから、そのまま口に含むと、少し舌に刺激を感じつつ味わう、というのが普通だと思っていました。
ですが、金山蔵のストレートは一口目から「スッ」と口の中に広がります。
この甘さはある意味、危険な芋焼酎かもしれません。
「飲みすぎに注意」と心に言いきかせるほど、ストレートもうまい金山蔵です。
とろっとした雰囲気、なめらかな舌触り、芋焼酎のさわやかな甘さ。
ストレートでも、ロックで飲んだときの特徴をそのまま感じることができます。
冷たくないので、おくに、金山蔵の優しさ、味の丸さをダイレクトに感じながら味わっていました。
では、温かくして飲んだら、どんな味がするんだろう、と気になってきてしまいました。
ロックやストレートとはまったく違う表情を持つ、金山蔵のお湯割り
金山蔵のお湯割りです。
ポットでお湯を沸騰させてしまったので、別の湯飲みに一度お湯を入れて、少し冷ましてから、お湯割り用の湯飲みにお湯を移して、金山蔵を注ぎます。
だいたい5:5(ゴーゴー)のお湯割りです。
口に含むと、はじめは穏やかでしたが、喉を通した後に、独特の残り香を感じます。
芋焼酎だけど、サラッとした印象です。
ロックとはまたぜんぜん違う表情をみせてくれます。
勝手なイメージなのですが・・・
田舎にきたときの、ホッとするような雰囲気があるんです。
芋と草と土と風と、みたいな感じでしょうか。
小さいときに、サトウキビをちょっとだけかじったことがあるのですが、なんとなくそのときの雰囲気を思い出していました。
サトウキビの味がするわけではないのですが、芋焼酎のお湯割りで今までに感じた、白麹、黄麹、黒麹、どの芋焼酎ともテイストが違うな、っていう、独特の芋焼酎の甘さを感じていました。
スーーッと口の中に入って、しばし飲んでいるとふわっと香りが広がる、そんな芋焼酎のお湯割りです。
しばらく味わっていると、お湯割りの温度が下がって、味がなじんできます。
金山蔵のお湯割りは、なじんでくるとまた違った表情をみせてくれます。
やわらかな芋の甘さを、じんわりと感じます。
お湯割りの作りたてに感じた、スーーッという感じではなくなっています。かといって甘ったるい味ではないのです。
口に含んだときから、喉を通し終えたあとまで、ずっと芋の甘さが横たわっていて、優しくてまろやかな芋焼酎らしい味と香り、そして余韻を楽しむことができます。
このくらいのお湯割りの温度が、金山蔵の魅力を最大限に引き出していると思いました。
ロック、ストレート、お湯割り、どれも楽しめる金山蔵
金山蔵は、熟成古酒のおいしさと、本来の芋焼酎の旨さが共存していて、とてもいいバランスで味わうことができると思います。
もしおつまみを食べるなら、味付けがシンプルかつ薄味なものがよいのではないでしょうか。鯛の昆布締めや、野菜の浅漬けなどがいいと思います。
でも、金山蔵はやはり、焼酎だけでゆっくりと味わうのがいちばんステキではないかと思います。
ロック、ストレート、お湯割りと、飲み方によって異なる表情を持つので、その味の違いや、香りの広がり方の違いを楽しむのもおすすめです。
原材料 | さつまいも(鹿児島県産)、米麹(国産米) |
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使用麹 | 黄金麹 |
蒸留法 | 常圧 |
アルコール度数 | 25% |
蔵元名 | 薩摩金山蔵株式会社(濱田酒造) |
内容量 | 720mL |