今日は、おうちの棚の奥に眠っていた芋焼酎を引っぱり出してみます。
これは、デパートのお酒売り場で見つけて買った「蔵純粋」。
そうそう普通の日に飲める芋焼酎ではありません。アルコール度数が40度を超えているのです。
明日の心配もなく、腰を落ち着けて飲む日に開けようと思い、しまっておいたんです。
実は、「蔵純粋」は飲み屋さんで出会ったことがあります。
でももうそれは10年以上前のこと。残念ながら味の印象が、私の記憶の中で薄れてしまっていました。
40度を超えている芋焼酎、いったいどんな味なのでしょうか?
さっそく飲んでみました
蔵純粋はなぜ40度なの?
開封する前に、写真を撮っておこうと思い、ラベルをよく見ていると、焼酎のアルコール度数が手書きで書いてあるのを発見します。
そもそも、なぜ「蔵純粋」は一般的な芋焼酎のアルコール度数25度より、はるかに度数が高い40度なのでしょうか。
大石酒造の公式サイトで、その理由がわかりました。
この焼酎は、蒸留後、割水による度数調整や濾過をしていないため、蒸留したままの味をお楽しみいただけます。
これはどういうことなのか、少々解説を加えておきましょう。
焼酎は「蒸留酒」のカテゴリーに入ります。その名のとおり、焼酎作りの後半には「蒸留」という作業が待っています。
「蒸留」については、ななぴょんが分かりやすくまとめた記事があるので、参考にしてくださいね。
ふつう、焼酎造りにおいて、「蒸留」の作業で集めた焼酎は、アルコール度数が一定ではありません。
蒸留のはじめでは、60度くらいの高いアルコール度数です。蒸留しつづけていると、だんだんアルコール度数が下がってきます。
結局、はじめにできた高いアルコール度数のものと、あとのほうでできた低いアルコール度数のものが混ざるので、最終的には40度前後に落ち着きます。
その後、刺激臭を抑えるために成分を調整したり、一定期間熟成させたりします。
そして、割り水を加えてアルコール度数を25度にしてから、ろ過などを経て出荷することになります。
「蔵純粋」は、割り水を使ったアルコール度数の調整を行っていないのです。だから40度なのですね。
さらに、アルコール度数の調整ができないので、「蔵純粋」のラベルには、手書きでアルコール度数が書かれているということなのですね。
なんだか、すごく濃い芋焼酎のような気がしてきました。
さっそくお湯割りで飲んでみましょう。
(ちなみに、「蔵純粋」を飲んだ後に、大石酒造の公式サイトを眺めたら、「ロックでどうぞ」って書いてありました・・・)
蔵純粋をお湯割りで
5:5(ゴーゴー)のお湯割りを作りました。
もとの焼酎が40度ということもあって、少々腰が引けてしまい、量は少なめにしました。
ゴーゴー、ってことは、20度はあるはずですよね。
すごく強い香り、というほどではありませんが、グラスに口を近づけただけでも、鼻にしっかりと香りが入ってきます。
口に入れた瞬間、「ドーン!!」とくる焼酎の香りを感じます。ただ、その後は「スーーーッ」とやさしく消えていく感じ。
はじめに感じた、刺激的な香りと風味は、芋焼酎特有のものというよりは、焼酎が持つ共通の「濃さ」という雰囲気を持っています。
まるで、芋焼酎っぽさと、麦焼酎っぽさをあわせたような重さが、まず入ってくるような感じなのです。で、「おっ」と思った瞬間から、軽くなって引いていく。
芋焼酎くささとか、芋焼酎に特有の甘さなどは、あまり感じません。
25度の焼酎をストレートで飲んでいるような雰囲気と、焼酎の味の濃さはたしかに存在するんです。でも、お酒のキツさが全くないんです。
喉に流し込むと、喉が少し熱くなるような濃さを感じるのに、でもまろやかなんです。
「蔵純粋」は、口に入れたときの、焼酎好きをうならせるコクと、後味の軽さ、そしてまろやかさという不思議なキレを持っている、そんな焼酎だと思います。
いちおう、おつまみも用意しておきました。
シンプルなお豆腐の煮物だったのですが、味付けの甘さとぶつかるのか、焼酎の味がピリピリしたものに感じてしまいました。
もしかすると、さっぱりしたものや、塩気のあるおつまみが合うのかもしれません。しかし、私はこの「蔵純粋」はお酒だけでチビチビと飲みたいな、って思います。
せっかく、相反するコクとキレを同時に味わえる焼酎なのに、おつまみと一緒だとその特徴が薄れてしまう気がするのです。
お湯割りが冷めると、焼酎とお湯が「なじんだな」っていう気がするのも、この「蔵純粋」の不思議なところです。
さらにまろやかさが増して、飲みやすい焼酎になるんです。
何というか、お湯となじむ感じが深くて、焼酎とお湯が溶けあって、相乗効果を発揮しているような、そんな一体感を感じます。
「蔵純粋」はもともと40度の焼酎だった、ってことを忘れそう。ゴーゴーでお湯割りにして20度もあるのに、こんなにもおいしいなんて、危険な焼酎ですね
蔵純粋をロックで
ちょっとしたいたずら心というのでしょうか・・・
こんなにも不思議なおいしさをもつ「蔵純粋」が、ロックだと、どういう味になるのでしょうか?ものすごく気になるのです。
でも、「蔵純粋」は40度。舌がピリピリ感じて飲めないのではないかと、心配していました。
ところが、口に運ぶと、スッと飲めてしまいます。
もちろん、はじめはきつめのパンチがあります。
「うわぁ!しびれる!!」
と一瞬思うのですが、そのあとは衝撃がスッと後ろに下がり、余韻として、とろっとした甘さが、口いっぱいに響いてきます。
ロックのほうが、お湯割りよりも、味の特徴が際立つ感じがしました。
コクやキレも目立つし、甘さもしっかりと広がる・・・エッジが効いている味になると思います。
「蔵純粋」はソロでゆっくりと飲みたい焼酎
「蔵純粋」は、焼酎が持つコクを感じ、キレの良さに驚く、そして何といっても濃くてうまい焼酎だと思います。
お湯割りが冷めてきても、味の特徴が落ちることはなく、むしろまろやかで飲みやすくなるような感じ。
ロックでは味の特徴がさらに目立ち、そのなかにしっかりとした芋焼酎の甘さを感じます。
アルコール度数が高いので、1杯目にチョイスするのはやめておいたほうがいいでしょう。もちろん飲みすぎにも注意です。
2、3杯飲んだ後に「蔵純粋」を味わったり、また、食後の楽しみの1杯にするというのがおすすめです。
「蔵純粋」を飲んでいると、まるで、おしゃれなバーでグラスを傾けているような気分になるんです。いつのまにか時が流れていく、そんな優雅で贅沢な時間です。
ゆっくりとした音楽とともに、ゆったりと飲みたい芋焼酎が、「蔵純粋」だと思います。
原材料 | さつまいも(鹿児島県産)、米こうじ(国産米) |
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使用麹 | 黒麹 |
蒸留法 | 常圧 |
アルコール度数 | 40%前後 |
蔵元名 | 大石酒造株式会社 |
内容量 | 720mL |